春のとある一日。
ふと、立ち止まってみた。
いつもの道で行き交う車、みんなどこに行くんだろ?
朝から走ってる人がいる、すごいなぁ。
子どもとお母さんが一緒に手を繋いで歩いている、可愛いなぁ。
特に何をするでもなく、煙草に火を点け、深く吸い込んだ白い煙を、ため息と一緒に空に向かって吐き出す…
あ、最近上を向いたのっていつだったっけ?
別に新しい発見は無いし、空は太陽が見えない曇り空だし…
そしてまた携帯を手に取って、顔は自然と下を向く。
やっぱりあの人から連絡は無いか。。。
また一服、でも煙はやっぱり上に向かって…
たまには上を向くのもいいのかな。
携帯を見る回数を減らしてみようかな。
別に今の状況に不満があるわけでもないし、かといって満足してるわけでもない。
幸せだとは思うけど、何か楽しみがあるわけでもない。
悲しくはないけど、どこか虚しい。
変えられるなら変えたいけど、変わらないなら変わらなくていい。
むしろ変わらなくてもいいかもしれない。
煙草の煙はいつだって白くて、掴みどころのない形のまま、吐き出した悩みと一緒に霧散していく。
さて、何しようか。
背伸びをして、大きく深呼吸をしたら最後に一服…
やる気と一緒に吐き出したら、当てもなく歩き出そう。
向こうに虹が見えるなー、今日は何か良いことがあるかもしれない。
眩しくもない空を見上げ、目を細めながら少しだけ口角が上がる。
こんな日があってもいいか。
そして今日も生きてみよう。
いつかまた、こんな日をかけがえのない日だと実感するために。